この本の筆者の今東光(こんとうこう)という方は、天台宗の僧侶であり小説家でもあった方で、瀬戸内寂聴さんが師と仰ぐ方でもあります。
川端康成の友人であり、「お吟さま」で直木賞受賞。
僕はこの方が活躍していた時代はまだ生まれていなかったのでリアルタイムではしらないのですが、僧侶でありながら、型破りでとても破天荒な方だったようです。
「毒舌 身の上相談」は1977年7月~12月に集英社より刊行された「続 極道辻説法」と「最後の極道辻説法」をあわせて文庫本にしたものです。
「極道辻説法」とは1973年から始まった週刊プレイボーイの人生相談コーナーで、当時はとても人気だったようです。
しかし今東光の歯に衣着せぬ物言いのため、反抗や抗議の手紙もとても多かったようです。
気分がいい!
この方とても言葉遣いは悪いのですが、僕的にはなぜか気分が悪くならないのです。
むしろ気分がいいくらいです。
今とはずいぶん時代が違うので、さすがに「それ言っちゃまずいでしょ!」という回答も沢山ありますが、基本的に読んでいて「よく言ってくれた!そのとおり!」という回答も多く、スッキリします。
人によっては気分が悪くなるということもあるかもしれませんが、さすが天台宗の大僧正という立場まで行った人というだけのことはあって、言いにくいことをズバッと極端に言ってくれます。
しかし丁寧な文で送られてきた手紙にはとても丁寧に返答をしているので、他人は自分を映す鏡っていうのを読者たちに知らしめたような印象を受けました。
厳しさの裏に優しさを感じる
質問に対しての第一声が罵声を浴びせることだったりして、とても子供には見せられない内容ではありますが、この内容をきちんと理解できるようになれば、確実に周りの大人たちよりメンタルはしっかりした人間になってるんじゃないかなーなんて思います。
僕も子供が中学3年生くらいになったらこの本をすすめてみようと思います。
とりあえず罵声は浴びせるんですけど、そのあとの回答が優しかったりするんですよね。
愛があるとはこういうことなんでしょうね。
和尚はとにかく人間が大好きだと本書の中でも言ってます。
しかし面白いのが、同じような質問がほかの回であったときに回答が全然違ったりもするんですよね。
しかしそこが人間らしくていい!と僕は思ってしまいました。
みなさんそうだと思いますが、その時間やその時の体調だったりでいろいろ意見が変わったりしませんか?
でもそれで当たり前だと思うんですよね、柔軟な人ほど周りの意見だったり自分が経験した事によってコロコロ意見が変わります。(僕もそうです)
そう思いながら読んでると「そういう考え方もあるよね」って思えて楽しいです。
すごく努力した人じゃなきゃこんなにハッキリ言えない!
とんでもないような回答でも、とにかくズバッと断言します。
自信に満ちあふれた人だと思います。
ここまで自信を持てるのは相当努力してきて、たくさんの修羅場を経験した人でないとできないと思いました。
知識も相当なものだと思います。
ちなみに僕がこの本を知ったのは、島地勝彦さんの人生相談の本を読んだ時です。
この島地勝彦さんという方も知識が深く、面白い本を書いているので、また本の感想を書かせていただきます。
まとめ
とにかく言葉は乱暴ですが、膨大な知識に裏付けられた人生相談は、読んでいてとても面白く興味深いものでした。
しかし40年以上も前の本なのに悩みの内容が現代でも大して変わってないのが印象的でした。
やはり人間なかなか変われないものなんですね。
アダルトな内容なものもありますのであまり気分がよくない方もいらっしゃると思いますが、僕は大好きな本ですので気になる方は是非読んでいただきたいです。
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